鉄筋コンクリート壁浮き部補修

東京都府中市の外壁塗装、塗り替え業者、有限会社不二塗装です。
調布市、国立市、日野市、狛江市など東京多摩地域を中心に塗り替え、リフォーム施工を行っております。

 

さて、前回お話しした鉄筋の酸化腐食による爆裂部補修の他にも、鉄筋コンクリート構造の建物には独自の補修処理を行う事があります。その一つは磁器タイルの建物のメンテナンスの際に触れた、表層面の浮きに対する処置。
磁器タイルの場合はタイルそのものが浮いているのですが、モルタル仕上げの場合は型枠コンクリートで形作られた構造体の上に表面を整えるためコテで盛り付けられた仕上モルタル部分の浮きを調べます。
厚いところでも数センチの仕上げモルタルですが、構造体から浮き上がっていると地震などの際に剥落、落下する事故につながります。

これを未然に防ぐのがこの作業の目的です。
まずは打診検査。

壁面全体を打診棒で「ゴロゴロ」と撫でていくと、構造モルタルと仕上げモルタルの間に空缶がある箇所に来ると「カラカラカラ」と高い音に変わります。
この部分をチョーク等でマーキングしていき、一平米あたり16穴の穴を振動ドリルで構造体まで届いてから深さ30mm程度の穴をあけます。

(庇部分や、見上面などより強度が必要とされる公共建築改修工事標準仕様書の指定部分に関しては平米あたり25穴)

実際のところは数箇所を穿孔した時点で最適と思われるステンレスピンの長さがわかりますので、そのピンの長さが穴の深さとなります。

直径は4㎜のステンレスピンより1mm~2mm程度大きめとなるので5~6mm。
穴の内部をダスタースプレー等で粉塵を吹き飛ばしたのち、一穴に着き25cc(30g)のエポキシ樹脂を専用器具で注入します。

注入器具の形状、機能は「グリースガン」とほぼ同じです。

ポンプを押していくとエポキシ樹脂が穴を中心に構造体と仕上げモルタルの隙間に入っていく手応えがわかります。
注入完了後、気泡等が入らないようステンレスピンを押し込み、樹脂の硬化後、エポキシパテ等で段差をふさぎます。
以上の作業によってステンレスピンを中心にエポキシ樹脂がピン周囲の構造体と仕上げモルタルとの隙間に入り込み硬化、接着して仕上げモルタル面の欠落を防止することが出来ます。

もっともこの工法で壁面の補修を行った後でも部分的に浮きがある事は変わりないので打診の際、同様のカラカラ音のする箇所は存在します。

接着剤の注入が仕上げモルタルと構造体の間に100%入りきるわけではないからですが、大規模な剥落は確実に防げる様になります。

更に確実かつ高耐久、または寒冷地などでの雨水の浮き部浸入後の凍結による劣化、破損を防ぐ為には、確実な樹脂の注入をめざしたピンニング全面注入工法(ピンレスの注入孔も含め平米あたり25~40穴)などの仕様もあります。

他にもガラスあるいはカーボンネットで壁面全体を覆ってピン止めしてしまう「ピンネット工法」等も最近よく見かけるようになってきました。

 


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