狭間(はざま)の床 4

東京都府中市の外壁塗装、塗り替え業者、有限会社不二塗装です。

府中市はもちろん、拝島市、昭島市、八王子市など東京都多摩地区を中心に塗り替え、リフォーム施工を行っております。

「今回はですね・・・本当にだまされました(T-T)」
「うんうん。(^^)さあ!始めようじゃないか! 実際に体を動かしてしまえばだね、どうということはないものだよ。うんうん・・・実に綺麗、手入れが行き届いているだろ?」
「たしかにそうですね~なんの匂いもしないし・・・綺麗なものですねぇ」
「それはやっぱり日頃の心がけっていうか、相手への敬意の表れだと思うんだよね。実際のところこの床だって、普通のボイラー室だったら塗り直そうなんて話は起きないものなぁ。それだけ気配りしてるって証拠なんだろうと、思わないかね?(^^)」
「うーん・・・(=_=)そうなんでしょうが・・・」
「きっと喜んでくれると思うよ(^^)どんどんバリバリ進めよう。実際、お稲荷さんを塗り替えたりすると不思議とその後いくつも仕事が舞い込んだりするんだから」
あれほど騒いでいた防水屋の親方もそこはプロ、私の論理的な説得に納得したのか・・・無駄な抵抗とあきらめたのか・・黙々と仕事に取りかかりました。

実際のところ仕事さえ終われば帰ることが出来るのです。それが大きな行動原理となったのはいうまでもありません。
連れ立ってやってきた若手の方は親方よりもメンタルが強いらしく、ずっとクスクス笑いをこらえていた様子で、キビキビと動き回ります。

私がビニールで器具や周囲の床を養生し、続いて親方がサンダーで旧塗膜を除去していったあとを黙々と箒で清掃し始めました。
この調子だと予定よりも早く終わりそうだなと思っているところへ
「こんばんは~(^^;)」
振り返ると防水屋さんの職人がもう一人立っています。
「あれ(^_^;)?どうしたの?」
「応援に来いって電話がかかってきました・・・(-_-;)」
「え?もうすでに二人なんだけど・・」
「待ってた!手伝って(>_<)」
「了解しました~!」
「え~(^^;)・・・2人工分しか見てないけど」
「いいです。大丈夫です。わかってます・・・でも三人でやれば早く終わるし、心強いです!!さあ、掃除!掃除!」
「は~い(^^)(^^)」
「お~(^-^)活気が出てきたな」
まさしく身銭を切ってでも短期決戦に出た親方。手を抜かず、気も抜きません。
「親方、ホチキスの針がやたら出てきますけど(?_?)(?_?)」
「あれ~なんでだろ~(^_^;)? タッカーの針だなこれ、ホチキスの親分・・」
塗膜の下からそんなものが出てくるハズがない。養生の手を止めて覗いてみると、真面目な彼らは塗装予定面だけではなく機械下奥の奥にまでブラシを入れて丁寧に掃除をしている。

エライ!エライが・・・
「それは~見たことがあるな。お袋の葬式で・・・(‘_’)」
「なんでしょう(^^;?(^^;?(^^;?
「棺桶の残りだよ、釘替わり(=_=)」
「おわ~(@_@)(@_@)(@_@)
「それよりも・・・もっと大切な物がそこにあるじゃないか・・・(;_;)」
「え!(*_*)(*_*)(*_*)
「その小さい白い物は手荒に扱ってはいけない。(-_-;)お骨だから・・」
「エッ~(>_<)!(>_<)!(>_<)!
そうなのです。錆の浮いたタッカー針に混じって、輝くように白くて薄い物がありました。

浜辺に寄せた小さい貝殻の欠片のようにそれはなぜかとても美しかった。
「(T_T)どうしましょう(/_;)どうしましょう」
「元に戻す?(*_*)遺族に返す?え?誰に?」

「慌てるな(^_^;)今更騒いだってどこの誰のものやらわからんし、一つ一つが別の人かもしれないじゃないか」
「あ!(@_@)(@_@)(@_@)そうですよね・・・でもどうします???」
多分ここにお骨を引き出したとき冷める過程ではじけた骨なのだろう。

そういえばお骨って全てを骨壺に収めるわけじゃないよなぁ・・・よろしいですかと言われたあと灰と一緒に回収してたっけ。

それなら正規の取り扱いが決まってるんだろう。そのように扱ってもらおう・・・
「絶対捨てるなよ、集めたままにしておいてちょっと待ってろ」
僕は誰もいない廊下を歩いて洗面所に行くと出来る限り丁寧に石鹸で手を洗いました。
他に綺麗と呼べる道具も思いつかなかったからです。
「さぁ、俺がひろう。みなさん失礼いたします<(_ _)>」
拾い残しの無い様に丁寧に一つ一つ、床から白い欠片をひろうと左の掌に載せていきました。

全てを集めると掌二杯分ぐらいだったと覚えています。
施工箇所から離れた綺麗な床にそっと置いて心よりご冥福を祈りました。
「さて(^_^)これでいい。作業再開だ」
友引の夜も更け、あと少しで日付が変わる時刻のことでした。


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