磁器タイルの外壁リフォームの流れ 2

東京都府中市の外壁塗装、リフォーム、塗り替え業者、有限会社不二塗装です。

府中 、小金井、稲城、八王子など東京多摩地域を中心に塗り替え、リフォーム施工を行っております。

さて、外壁タイルの打診検査が完了しますと浮き部分の発生箇所、面積を算出することが出来ます。

写真の建物ですが、この10番の部分、ここまで集中的に浮きが認められるのは、かなり珍しいケースといえます。

目地部分に穴をあけます

実際に他の部分に関してはタイル十数枚程度の浮き部分が点在するくらいで、建物全ての面積に対してはさほど多いものではありませんでした。

通常、建物総面積の10%程度に収まるのがほとんどで、それを超えるとは滅多にありません。ここ10番の部位は接着剤の量が少なかった、圧着が足りなかったなどの何らかの原因があって、この部分に集中的な浮きが生じたのではないかと考えています。こうして特定した部位のタイルは、モルタル壁面への接着面積が少なく将来のタイルの浮き、脱落の懸念があるために補強を行います。

まず最初は浮き部分の型状に見合った箇所にマーキングを行い振動ドリル(低振動タイプ)で接着剤注入孔を開けることから作業は始まります。

清掃が終わったら、注入器(グリースガン)を使用して、それぞれの穴に標準の規定で25ccずつエポキシ樹脂を注入していきます。穴の直径は、この後挿入するステンレスピンの太さより2mm程度大きくする事となっていて(タイルの場合は基本的に目地部分に穿孔、ピン入れを行います)穿孔後穴の内部に残っている粉塵を除去するためエアダスターなどで清掃作業を行います。

注入器(グリスガン型)
エポキシ注入剤

一般的に「ピンニング工法」と呼ばれる工法で、まず1㎡あたり16穴を基本として(状況により増減します)深さ30mm程度の穴を穿孔します。この樹脂はよくホームセンターで販売されている二液性のエポキシボンドのようなものと思って下さって結構ですが、接着するコンクリート素材にもっとも適した成分配合と、注入器の圧力によって内部でタイルとコンクリート下地浮き部分のわずかな隙間に浸透し円を描くように接着面を確保するのにもっとも適した粘度となっています。

また、余りに速乾では作業時間が確保できない為、硬化時間は長めに設定されています。

エポキシ樹脂注入作業
このあたりも専用の接着剤らしさでしょうか・・・五分で硬化してしまってはその都度練り直さなければなりませんので(^_^;)ちょっと忙しすぎます。実際25cccの注入といわれても目盛が付いているわけではないので重量で30g程度を押し出すのに何回レバーを動かすかということを確認し、その回数を規定として穿孔部と注入ノズルの間にウエスを挟み、各個注入していくのですが、キッチリと注入が出来た場合には、しっかりとした手応えがあります。ところが回数を超えても更にするするとボンドが入っていく場所もあります。これは「ジャンカ」と呼ばれる空洞部部分がコンクリート付近にあった時に起きるのですが、この場合は入るだけ入れます。ごくまれにですが隣の穴からボンドがでてくるときもあるんです。これはこれで隣り合う浮き部分の全てに注入が確実に行われたという証になります。
ステンレスピン

注入が完了したら先程少し触れたステンレスピンの挿入を行います。全てにネジが切られた「全ネジ」状態のステンレスのピン。ネジが切られているからといってドライバーでねじ込むわけではありません。

この凹凸によって注入剤との密着、固定を強固な物とする為のネジです。

このネジをしっかりと一穴に一個ずつ空気などが混入しないよう確実に挿入していきます。

一通り全ての穴に挿入すると、押された注入材の押し戻しで飛び出してくる場所もありますが、そのような箇所も含め、全てのステンレスピンを注入孔より数㎜奥まで別のピン先を使って均等に差し戻し、固定、硬化乾燥させます。この際、注入材で汚してしまったタイルがもしあったら、忘れずにエポキシシンナーとウエスを使って清掃致します。

ステンレスピン挿入

硬化完了後、目地部分の色に合わせた樹脂モルタルで穿孔部を補修して作業は完了します。

このように注入作業を行うと、ちょうどステンレスピンを中心に傘のように開いたエポキシ樹脂の補強材が磁器タイルとコンクリート下地面の間に作られることになります。これが「ピンニング工法」と呼ばれるモルタル・タイル浮き補修工法です。

・・・そうです。この工法は鉄筋モルタル造りの建物の外壁の補修にも使われます。このモルタル造りの建物の事例はまた後日のご紹介とさせていただきますね。

また、今回はよく行われている1㎡あたり16穴の「ピンニング部分注入工法」についてご紹介しましたが、より浮き面積が大きく長期的な補修を狙う「ピンニング全面注入工法」という施工方法もあるのです。

ピンニング工法概略図

これは平米あたりの穿孔数を増やし、浮き部分全てに注入剤を行き渡らせようという工法です、ただし全ての穴にステンレスピン挿入するわけではありません。実際にこの全面注入工法を公共工事にて指示された経験は今のところはありませんので、特殊な事例であると言えるでしょう。

さてこのあと、高圧洗浄等、清掃完了後窓廻り等のシールを打ち直して足場撤去となりますが、せっかくかけた足場、もっと有効活用したいと思うのは人情ではないでしょうか、そこでもう一つおすすめしたいのが「目地モルタルの保護延命」です。

外壁磁器タイル張りの建物の場合、壁面からの雨漏りの原因はそのほとんどが目地セメントの欠落部分からであるためです。


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